コラム
2019/11/18

「1日1万歩」はウソ?ウォーキングで効果が出るのは何歩から?

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今回は「ウォーキングの効果に本当に必要な歩数」と「歩数を増やすアイデア」について、こんな記事をご紹介いたします。

糖尿病の運動療法で「1日1万歩」は必要? ウォーキングの真の目標が明らかに

日常的にウォーキングをしている、あるいはこれから始めたいと思っているみなさま、ウォーキングの目標はどのように設定していますか。

よく聞かれるのは「1日1万歩」ですよね。実際に、「健康のために1日1万歩を目標にウォーキングに取り組みましょう」といったスローガンをよく目にしますし、保健指導でもそういわれることが多いようです。しかし、この「1日1万歩」は本当に必要なのでしょうか。このくらい歩かなければ効果はみられないのでしょうか。

今回は、健康改善のために必要なウォーキングの目標と、歩数を増やすアイデア8選をご紹介いたします。

「1日1万歩」に根拠はある?

そもそも「1日1万歩」が広く知られるようになったのは、日本の時計計器メーカーが1965年に、歩数計を「万歩計」という商品名で売り出したのがきっかけではないかと、研究者は推測しています。

ハーバード公衆衛生大学のアイ-ミン リー教授は「1日1万歩を達成できれば、それは素晴らしいことです。でも、それよりずっと少ない歩数でも、健康効果を得られることが明らかになりました。もっとも危険なのは、何も運動をしないことです」と話しています。

「1日1万歩」を達成できない場合でも、長時間座ったまま過ごすのを避け、「活発なウォーキング」を心がければ、血圧や血糖値、コレステロール値の低下、肥満解消に効果があります。

では、高齢の方はどの程度歩けばいいの?

ハーバード大学医学大学院などの研究グループでは、約1万7,000人の女性(平均72歳)に歩数や身体活動を測定できる活動量計を着用してもらい、ウォーキングなどの運動の他、家事などの身体活動を測定しました。

その結果、高齢女性の場合、1日あたり4,400歩の女性は、1日2,500歩以下の女性に比べ、死亡リスクが41%低下しました。1日7,500歩の女性でもっとも死亡リスクが低下しましたが、歩数がそれ以上増えても大きな変化はありませんでした

また座りがちでもっとも不活発な女性は、1日の歩数が約2,700歩程度でしたが、歩数をあと2,000歩ほど増やせば、健康に改善がみられる可能性があることもわかりました。

死亡リスクが大きく低下した「1日4,400歩」であれば、高齢の女性でも達成できそうですよね。しかし、実際には60歳以上女性の1日の平均歩数は約4,000歩程度なのだそうです。

このことから高齢女性の場合は、「あと約400歩多く」を意識するだけで、健康改善の効果を見込めるといえそうです。高齢者にとって1日1万歩の達成は難しいこと。それより少ない歩数でも健康効果を得られるのは嬉しい事ですよね。

成人は、あと「2,000~3,000歩プラス」を目標に歩こう!

次に成人の場合はどの程度歩けばいいのでしょうか。 成人の場合、米国の運動ガイドラインでは、活発なウォーキングなどの中強度の運動を週に150分以上行うことを推奨しています。これを歩数に換算すると、週に約1万7,000歩に相当します。

そこでテネシー大学の研究グループが女性を対象とした調査を実施したところ、以下のようなことがわかりました。

・1日30分歩く習慣のある人:平均歩数9,505歩/1日
・1日30分歩く習慣のない人:平均歩数5,597歩/1日


この結果から、「中強度の運動を週に計150分以上」という目標を達成するためには、週に計1万7,000歩相当=平均的な歩数の人では、1日に8,000歩のウォーキングを毎日続ければよいということがわかります。

歩く習慣のない人でも1日に2,000~3,000歩多くなるよう、ウォーキングを毎日続ければ、目標を達成できますね。

「1日1万歩」はハードルが高いと感じた方も、「1日に2,000~3,000歩多く」であれば続けられそうだと思いませんか。

習慣を少し変えるだけ!日常で歩数を増やすためのアイデア8選

わざわざスポーツジムに通わなくても、日常生活で工夫をすれば、歩数を3,000歩増やすことは難しくありません。

ここで、ハーバード大学医学大学院が紹介している、毎日の習慣を少し変えるだけで歩数を増やせるアイデアを8つお伝えします!

<運動不足を解消!歩数を増やすアイデア8選>

(1)仕事中や家にいるときは、なるべく立ち上がって体を動かす頻度を増やしましょう

(2)仕事中はメールや電話ではなく、相手の席まで歩いていき直接話すようにしましょう。コピー機を机から離れた場所に置いたり、打ち合わせは立ったまま行ったりするのも良いですね。

(3)家でテレビを見ているときでも、コマーシャル中は部屋を動き回るようにしましょう。

(4)日常で体を動かす機会を増やしましょう。たとえば、洗濯物を一度に運ばず、数回にわけて運ぶようにするなど工夫しましょう。

(5)通勤などの移動は、車ではなく、徒歩と公共交通機関を利用しましょう。

(6)車で職場やショッピングセンターなどに行くときは、なるべく入口から離れた場所に駐車して歩きましょう

(7)余暇のレジャー活動をアクティブに!子供や孫と庭や公園で積極的に遊ぶ・犬の散歩をする・体を動かすサークルに参加するなどしましょう。

(8)どうすれば体をより活発に動かせるか、事前に計画して行動しましょう。(目的地にどうやって行くのかなど)

いかがでしょうか?日常生活の少しの工夫で歩数を増やすことができますね。

心筋梗塞・心不全・脳卒中・失明・足切断などの糖尿病の合併症は予防が可能です。糖尿病とつきあう中で、少しでも健康面を良い状態に保つためには、こういった少しの工夫の積み重ねで効果がありそうです。

大きな目標を立ててすぐに挫折してしまうよりも、毎日コツコツを意識しましょう!

 

 

▶元記事を読む

※引用元:糖尿病ネットワーク
糖尿病の運動療法で「1日1万歩」は必要? ウォーキングの真の目標が明らかに - 2019年10月21日
https://dm-net.co.jp/calendar/2019/029562.php
[日本医療・健康情報研究所] Copyright © 2019 Soshinsha.

※このコラムは、「糖尿病とうまくつきあう」サイトに掲載されたものです。
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