コラム
2021/04/16

《アンケート連動企画》歯医者さんに聞きたい素朴な疑問10

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日頃、歯医者さんに聞きたくてもなかなか聞けないことってありますよね。今回、クラブサンスター会員様に「歯科医院や治療について知りたいこと」について2020年1月にアンケートを行ったところ、総勢517名様からの質問が集まりました。その中から、多かった質問を10選び、歯科医師に答えていただきました。

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監修者プロフィール

 
鈴木秀典(すずき ひでのり)
一般財団法人サンスター財団附属千里歯科診療所所長。岡山大学歯学部附属病院第1補綴科出身。岡山大学歯学部インプラント再生学分野臨床講師、大阪大学歯学部附属病院歯科医師臨床研修指導歯科医、日本補綴歯科学会専門医、日本臨床歯周病学会会員、SPIインプラントインストラクター。

一番気になる、歯科医院に通う回数と料金は!?

Q1 なぜ治療が一度で終わらず何度も通わなくてはならないのですか?

一番多かった質問が「どうして何度も通わなくてはいけないの?」というもの。多くのみなさんの疑問のようですが…。

「おそらくみなさん、意図的に回数を増やしているのではと疑っていらっしゃるかもしれませんが(笑)、そういうことはありません。たとえ痛みが強くても、病気の程度が小さければその日のうちに終わる治療もありますし、痛みが小さくてもむし歯が神経に到達していたり歯が大きく損傷していれば、一度では終わりません。治療の回数はお口の状態で変わってくるのです」

Q2 医院によって料金が違うのはなぜですか?また、治療料金の総額が事前に知りたいのですが、教えていただくのは難しいですか?

次に多かったのが治療の料金について。この歯医者さんは安い、この歯医者さんは高い、という日常会話もよく聞く気がします。

「みなさんよくご存知のように、歯科治療には保険診療と自費診療があります。保険診療は日本全国一定の金額と決められているので、同じ内容であれば同じ金額から変わることはありません。自費診療は医院によって価格設定が違うので、差が出てきます。
治療の料金については、聞いていただければ概算を伝えることが可能です。お口の状態を見せていただいたら、医師はその後の治療の計画を立てるのですが、概算総額だけでなく、通う回数や期間についてもお伝えできます。
ただ、治療をはじめてみたら歯の根っこの治りが思いのほか悪いというようなことで、見込み回数と治療総額が変わることがあります。その際にも、必ず患者さんに相談するようにしています。
ぜひ、かかりつけの歯科医院でも遠慮せず聞いてみてください」

世の中からむし歯がなくならないのはなぜ?

Q3 定期検診に通う頻度はどれくらいが理想的ですか?

アンケートでは2~3ヶ月から半年に1回、定期検診に通っているというお答えが多く、クラブサンスター会員様のお口に対する意識がうかがえましたが、実際、どれくらいの頻度で行くのがいいのでしょう?

「人それぞれ、お口の環境や病気のリスクが違うので一概にはいえませんが、治療が終わった方は何かしらのリスクを抱えている可能性が大きく、再発防止のためにも3ヶ月に1回の定期検診からはじめていきましょうと提案しています。もう再発の心配はなくなったな、という方には半年に1回、もとからお口が健康な状態の方には1年に1回の定期検診でもいいのではないかと提案することもあります。
みなさんに共通するベストな頻度があるわけではないので、かかりつけの歯科医院で相談してみてください」

Q4 医学がこんなに発達しているのになぜむし歯はなくならないのですか? また、なぜ治療は痛いままなのですか?

さまざまな病気への画期的な治療がどんどん開発されている世の中なのに、むし歯はなぜなくならないのだろうというのは永遠の疑問のようです。

「私も、なぜむし歯がなくならないのだろうと思っています。(笑)むし歯の原因はむし歯菌による細菌感染なのですが、食事をしている限り、お口の中でこの細菌感染が絶えず起こっています。この菌をゼロにするのは難しいんです。例えば強力な除菌剤で除菌しようとすると、必要な常在菌まで殺してしまうことになってしまうんです。
そこで、私達が提案しているのが『プラークコントロール』。むし歯菌が潜むプラーク(歯垢)を、むし歯という病気が発生しない程度に抑制しましょうということです。その方法は、歯みがきです。残念ながら今の科学ではむし歯をなくすことはできませんが、自分自身の努力で発生しづらくすることはできると覚えておいてください。
治療が痛いという件に関しては、今は痛みを耐えしのぶような治療はまず、ないはずです。痛みそうな治療の場合は、麻酔を使ってコントロールを行っています。治療後に痛みの出る治療の場合は、鎮痛剤などでご自身で痛みを和らげていただきます。
もし治療中に痛い場合は、麻酔が効いていない、また、そもそも麻酔をしていないなど、医師がコントロールできていない場合かもしれませんので、痛いということを率直に伝えてみてください」

気になる治療のやり直しや自費診療について

Q5 詰めたりかぶせたりした歯はいつかやり直した方がいいのですか?

大人になったら子どもの頃の詰め物を治療しなおした、というクラブサンスター会員様も多かったのですが、本当に必要なのでしょうか?

「やり直す必要はありません。こういった治療が多いのは現実ですが、材料が古くなってきたから替えなくてはならないわけではなく、境目などからもう一度むし歯などの病気が再発したから外してやり直しているケースも多いと思います。
これを『二次う蝕』というのですが、自分で見つけることは困難ですから、歯科医師に見つけてもらえるように定期検診に通いましょう。早く見つかれば、再治療がおおがかりにならないで済む可能性も高いのです。
銀色の詰め物をセラミックに替えたり、差し歯を下がってきた歯ぐきにあわせて作り直すなどの修正は、治療ではなく『審美歯科』の部類になります。これは自費治療なので、ご自身の希望にあわせて行っていただくことになります」

Q6 保険適用と適用外の治療の差はなんですか?

歯科医院に行くと必ず判断を迫られるのが保険診療にするか、自費診療でもOKかということ。また、治療によっては保険適用外といわれることもあるようです。

「保険でできる治療は、限られた素材や時間の中で、可能な限りの治療をしますよということです。これ自体は日本の素晴らしい制度です。
保険適用外の自費診療は、使える素材が自由ということもありますが、それよりも大きいのがその治療にかけることのできる時間です。しっかり時間をかけて素材の選択肢を説明し、できるだけいい材料を使って型を取り精度の高い詰め物などを作れますよということですね」

ホワイトニング、インプラントの最新情報は?

Q7 ホワイトニングの技術/料金について教えてください。また、ホワイトニングは歯に悪いですか?

ホワイトニングに興味のあるクラブサンスター会員様はとても多く、技術や料金についての質問が多くありました。

「ホワイトニングは、歯の表面に薬品を塗ることで歯の本来の色を明るくするという技術。歯科医院で行う『オフィスホワイトニング』と、自宅でご自身で行っていただく『ホームホワイトニング』の2種類があります。違いは使用する薬剤とホワイトニングに要する時間です。オフィスホワイトニングは、強い薬剤に特殊な光を当てることで、その日のうちに白くなった実感をもってお帰りいただけますが、ホームホワイトニングでは、あらかじめ作ったマウストレーに弱い薬剤を入れてはめるという方法で1~2週間かけてゆっくりと歯を明るくしていきます。
Q2でもお答えしたように、自費診療による料金は歯科医院によって自由に決めていいことになっているので、かなりまちまちだと思います。
薬剤について、まったく害はありませんが、ホワイトニングの直後はミクロで見ると歯の表面が荒れている状態なので、着色しやすいコーヒーや紅茶、赤ワインなどを口にしないように気をつけていただかなくてはなりません。また、オフィスホワイトニングの場合は、1~2日、歯がしみる感じがする方もいらっしゃいます」

Q8 インプラントの良い点とリスクが知りたいです。

歯がなくなってしまった! という時にできる治療のひとつがインプラント。費用もかかるし、リスクも気になる、という方も多いようです。

「インプラントは、なくなってしまった歯を回復させる選択肢のひとつです。骨にチタンの人工歯根を埋め込むので、隣の歯に影響を及ぼさないということが最大のメリットです。チタンの生体親和性は確認されているので、材料としての心配はまずありません。
なくなった歯を補う方法として、ほかにブリッジや部分入れ歯がありますが、どちらも両隣の歯に余計な力をかけるなどの影響が大きいですね。
デメリットは、人工歯根を骨の中に埋める外科処置が必要になること、治療期間が長いこと、また、保険適用外ですから費用がかかること。また、インプラント歯周炎といって、歯周病が起きたら普通の歯より進行が早いというデータが最近、発表されました。一度インプラントにしたら、3ヶ月に1回の定期検診がずっと必要だと思ってください」

腕のいい歯科医師と巡りあうには?

Q9 ズバリ、腕のいい歯科医院の見分け方について知りたいです。

歯科医院の先生にこれを聞いていいのだろうか…といいつつも、やはり知りたい、とクラブサンスター会員様から多数挙がったこの疑問。しっかりと教えていただきました。

「まず、ほかの人の経験談や口コミに左右されないことです。Q1でもお答えしましたが、人によってお口の状態も治療内容も違いますから、ほかの人にとっていい歯科医があなたにとっていい歯科医とは限りません。口コミは参考程度にしましょう。
一番いいのは、ホームページでその先生の経歴や所属学会を調べることです。これも、たくさん入っているからいいとは限りません。今から受けたい治療の学会に合致しているか、その学会に認定されているかということは見分けるポイントになるでしょう。
また、医院でいえば、歯科衛生士がきちんとメンテナンスやホームケアの指導をしてくれるかどうかも大きなポイントです。歯科医院に行く前にはわからないと思いますので、電話などでホームケアの指導はしてくれますかと聞いてみるといいと思います」

Q10 最後に、歯科医師から患者のみなさんへ伝えたいことをまとめとしてお知らせください。

「ご自身で治す、という意欲を持っていただきたいということです。歯科医院は、ホームケアがうまくいかず、低下したお口の機能を回復させる場所。治療や、その後の定期検診で精いっぱいのサポートはしますが、おうちでご自身でどうケアするかということが一番大切なんです。
たとえ3ヶ月に1回、定期検診に来ていただいても、その間の90日あまりは私達は何をすることもできません。歯科衛生士にホームケアをしっかり教わって、普段のケアをしっかりやっていただきたいですね」

一番大事なのは、歯科医師の腕でも定期検診でもなく、自分自身で行うホームケア。しっかり意識してやっていきたいですね。

取材・記事 池田美樹

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