コラム
2019/11/30

【Q&A】アトピーやアレルギーは遺伝しますか?

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【Q】 私はアトピー性皮膚炎で、アレルギー性鼻炎にもかかっています。赤ちゃんに遺伝しますか?

【A】 アレルギー性疾患は遺伝的な要因が関係しているため、赤ちゃんにその体質が受け継がれる可能性はあります。ですが、遺伝的な要因だけで発症するわけではなく、環境要因によって左右されます。

アレルギーとアトピーの違い

「アレルギー」「アトピー」という言葉に似たような印象を抱いていて、違いがはっきりわからない人も多いようです。そこで、アレルギーやアトピー、アレルゲンなどの意味を簡単に説明します。

人間には、カラダの外から侵入しようとする異物や微生物から身を守る「免疫」という仕組みがあります。アレルギーは、この免疫システムがいわば過剰に反応し、害の低い物質にまで反応してしまうこと。また、アレルギーを引き起こす物質のことをアレルゲンといいます。

いわゆる「アトピー」とは、正確には「アトピー性皮膚炎」といい、かゆみのある湿疹がよくなったり悪くなったりを繰り返すという特徴があります。いろいろな要因が重なって起こるとされていますが、その一つに「アトピー素因(=アレルギーを起こしやすい体質)」があります。これは、家族がアレルギーかどうか、アレルゲンに対するIgE抗体を作りやすいかどうか、皮膚のバリア機能にかかわる「フィラグリン」というタンパク質の多さなどが含まれます。

5つに分類されるアレルギー

アレルギーはさまざまなタイプに分かれますが、リンパ球が直接炎症を起こすタイプと、IgEという特殊な抗体が関係して起こるアナフィラキシー型に分かれます。

アトピー性皮膚炎はアレルゲンに反応したリンパ球による炎症であり、じんましん・花粉アレルギー・食物アレルギーによるアナフィラキシーはすべてIgEが関与しています。

IgE型抗体ができるためには、最初にアレルゲンによってリンパ球が刺激されることが必要です。そのため、皮膚のバリアを強めてアレルゲンの侵入を防ぐことがアレルギーの予防につながると考えられます。

アトピーの原因は一つではない

家族にアレルギー疾患の人がいると、赤ちゃんもアトピー性皮膚炎になりやすいことがわかっています。海外のいくつかの報告によると、二卵性双生児に比べて一卵性双生児ではふたりともアトピー性皮膚炎になった率が高かったとの報告があり、遺伝子的要因があることをうかがわせます。しかし、双子のどちらか一方だけがアトピー性皮膚炎になったケースもあり、すべてが遺伝的要因だけで決まるわけではないようです。

ちなみに、最近の数々の研究により、アトピー性皮膚炎に関連した遺伝子が数多く報告されていますが、それらの多くは炎症か皮膚バリア機能に関するものでした。

アレルギー疾患は、たくさんの要因が絡み合って発症につながる病気で、生まれつきの体質だけでアレルギーになるわけではありません。栄養、微生物、住まいといった環境要因も影響することがわかり、研究が進んでいます。
最近最も注目されているのは、私たちの腸内に住み着いている細菌で、この中にはアレルギーを和らげるリンパ球を育てるのに役立つ細菌がいます。このことから幼児期のアレルギー予防の原則として「皮膚は守り、腸は育てる」という考え方が生まれました。

重要なのは環境要因を減らすこと

日本で興味深い研究の報告があります。高温多湿の石垣島でアトピー性皮膚炎の有無と遺伝的要因を調査したところ、症状の有無に遺伝的要因の有無は関係していなかったという報告です。また、アトピーの素因がある子どもにスキンケアを施すことで、アトピー性皮膚炎の発症率が低下したという報告もあります。

これらは、遺伝的要因があっても環境要因をコントロールすることによって症状としては出てこない可能性を示しています。このように、遺伝的要因である体質そのものを変えることはできませんが、生活環境を調整して肌を積極的に守ることで、アトピー性皮膚炎の発症リスクを減らすことはできます。

まずは、一番のリスク要因となる肌の乾燥に対して正しいスキンケアを行い、肌のバリアを守ることが大切です。スキンケアをする時は、肌をこすらないといったことを心がけましょう。さらに、特定の食品がアレルゲンだとわかっている場合は除去する、アレルゲンとなるかもしれないダニやハウスダストを遠ざけるなど、環境要因の減少も効果的です。
一方、卵やピーナツに対する食物アレルギーの予防のために、免疫が固まる前にこれらの成分を積極的に食べさせるという治療も行われるようになってきました。まさに「腸は育てる」を、絵に描いたような話ではないでしょうか。


 
監修/西川伸一(にしかわ しんいち)
医師、医学博士
1948年滋賀県生まれ。1973年京都大学医学部卒業。1980年ドイツ・ケルン大学遺伝学研究所留学。帰国後、京都大学胸部疾患研究所にて助手、助教授を勤めた後、1987年より熊本大学医学部教授、1993年より京都大学大学院医学研究科、分子遺伝学教授を歴任。2013年よりNPO法人オール・アバウト・サイエンス・ジャパン代表理事に就任するとともに、2019年より一般財団法人サンスター財団会長に就任。
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