生活習慣のコツ
2019/07/19

妊娠時、お口の中はバランスを崩しやすい

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妊娠期のお口の特徴

妊娠期には、「つわりによる口腔清掃の不良」、「食べ物の好みの変化や間食の増加」、「唾液(だえき)の量や性状の変化」、「ホルモン環境の変化(女性ホルモンの働きの活性化)」などが起こります。
このような変化が、妊婦の歯と歯ぐきにトラブルをもたらす原因となります。

口腔清掃の不良によるお口の衛生状態の悪化

妊娠初期には、多くの妊婦が“つわり”を経験します。つわりには個人差があり、飲食などに影響しない軽度のものから、吐いてばかりで脱水症状を引き起こし、点滴が必要になるものまで様々です。つわりがひどい時には、歯ブラシをお口に入れるだけで吐き気がして、歯みがきどころではないといった声も聞かれます。
また、妊娠中期からお腹が大きくなるにつれ、日常の動作が緩慢となり、歯みがきなども面倒になりがちです。妊娠前に毎食後の歯みがきをしていた人が、妊娠中には歯みがきの回数が減ったり、歯みがきの時間が短くなるのも無理のない話です。
しかしながら、せっかく身に付けた歯みがきの習慣が、妊娠中おろそかになるのは残念です。妊婦にむし歯や歯周病が多い原因のひとつが、こうした口腔清掃の不良によるものだと考えられているからです。

妊娠中の食習慣の変化

妊娠中には、食生活が乱れがちになります。例えば、つわりによって食欲が減退する人もいれば、逆に間食が増えてしまう人もいます。
特に妊娠中期以降、子宮が大きくなることで常に胃を圧迫し、一度に必要な量の食事が摂れなくなり、それを補うための「ちょこちょこ食べ」や、「だらだら食べ」が増えてしまいます。また、酸味の強い酸っぱい食品や、市販の清涼飲料水、さらには甘味菓子などを飲食する回数が増える傾向にあるようです。
こうした食習慣の変化から、歯や歯ぐきのトラブルを招くことが知られています。ましてや、ブラッシング習慣が疎かになりがちな妊娠期間中、このような食べ方をしていてはむし歯の温床を作ってしまいます。

妊娠中の唾液の変化

唾液には、食べ物の消化を助ける働きのほかにも、色々と大切な作用があります。例えば、食べ物のカスを洗い流す「洗浄作用」。酸性に傾いたお口の中を中性に戻してpHを一定に保つ「緩衝作用」。唾液の中に存在する物質が病原微生物に抵抗する「抗菌作用」などがその良い例です。
さらに、唾液はカルシウムを含んでおり、これが歯に取り込まれて「再石灰化」することで、初期のむし歯の修復にも役立っています。このように、唾液はお口の中を健やかに保ち、歯や歯ぐきを守ってくれているのです。
さて、妊娠中は大切な唾液に変化が生じて、むし歯になりやすい状況を作っていることが知られてきました。まず、唾液量の減ってしまう妊婦が一部にみられます。妊娠中にお口の渇きを覚えるのは、このためと思われます。唾液が減ってしまうと、洗浄作用や抗菌作用が弱くなり、むし歯の原因菌が増えることにもつながります。
さらに、一部の妊婦では唾液が酸性側に傾いており、そうした変化でもむし歯が生じやすくなると考えられます。

妊娠特有のホルモン変化

妊娠中には、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホロモンの働きが活発です。これは、胎児の発育に欠かせない母体の重要な変化なのですが、歯や歯ぐきにとっては、必ずしも良いことだけではないようです。
まず、女性ホルモンが増えることで、全身の血管透過性が高まります。血管透過性とは、血管の内外で水分や物質が行き来することを指しています。そうした血管透過性の高まりは歯ぐきでも生じており、そのために、わずかな細菌増殖の刺激でも歯ぐきは容易に腫れあがってしまうのです。
次に、ある種の歯周病菌が、女性ホルモンによって発育を助けられ、口腔内でその数を増やすことがわかっています。これも、歯ぐきにトラブルを起こす原因の一つになります。

このように、妊婦のお口の中はむし歯や歯周病になりやすい条件が幾重にも重なっているのです。妊娠中は普段以上にオーラルケアをしっかりとしたいものですね。

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