生活習慣のコツ
2019/03/19

【医師監修】加熱式たばこは、紙巻たばこよりも健康影響が少ないって本当?

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加熱式たばことは?

日本国内では、平成26年から順次発売されている加熱式たばこ。最近はコンビニなどでも見かけるようになり、急速に広まっている印象を受けます。

加熱式たばことは、一体どんなものなのでしょうか?
従来の紙巻たばこは、たばこ葉やたばこ葉を用いた加工品を燃焼して発生する煙を喫煙します。一方、加熱式たばこは、専用機器を使って電気で直接加熱し、エアロゾル(気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子)を発生させて喫煙するもの。主流煙(※1)の白い煙、副流煙(※2)がほとんど発生しないことが特徴のひとつです。
紙巻たばこの燃焼温度は700~900℃ですが、加熱式たばこの加熱温度は約240~350℃以下。
また、専用液を加熱してエアロゾルを発生させ、たばこ葉を含むカプセルを通過させて喫煙するタイプ(電子たばこ)もあります。

加熱式たばこと紙巻たばこを比較

日本での発売が始まって間もない加熱式たばこですが、少しずつその実態について研究が進められています。

厚生労働科学研究費補助金厚生労働科学特別研究「非燃焼加熱式たばこにおける成分分析の手法の開発と国内外における使用実態や規制に関する研究」によると、加熱式たばこの中には、主流煙に紙巻たばこと同程度のニコチンを含む製品もあることがわかりました。

厚生労働科学研究費補助金厚生労働科学特別研究「非燃焼加熱式たばこにおける成分分析の手法の開発と国内外における使用実態や規制に関する研究」をもとに作成

その一方で、加熱式たばこの主流煙に含まれる発がん性物質の含有量は、紙巻たばこに比べれば少ないことも判明。

厚生労働科学研究費補助金厚生労働科学特別研究「非燃焼加熱式たばこにおける成分分析の手法の開発と国内外における使用実態や規制に関する研究」をもとに作成

また、国立がん研究センター委託事業費「たばこ情報収集・分析事業」による調査では、受動喫煙の原因となる室内の環境たばこ煙【副流煙+呼出煙(※3)】のニコチン濃度を測定。加熱式たばこ喫煙時の室内におけるニコチン濃度は26~257μg/㎡で、紙巻たばこ喫煙時の1,000~2,420μg/㎡と比較すると、低いことがわかりました。

加熱式たばこの将来リスクは不明

上記の研究結果を見ると加熱式たばこは紙巻たばこと比べて、健康影響や受動喫煙の危険が少ないように感じる人もいるかもしれません。

しかし、加熱式たばこにも健康影響を与える有害物質が含まれていることはまぎれもない事実。

平成29年7月には日本禁煙学会が、10月には日本呼吸器学会が相次いで見解を発表して、加熱式たばこにも健康影響がある可能性を警告。使用者にとっても、受動喫煙をさせられる人にとっても、加熱式たばこや電子たばこの使用は推奨できないとしています。また、加熱式たばこの喫煙により、好酸球性肺炎を発症した日本人の症例の報告(平成28年)もされています。発売から間もないため、吸い続けることによって起こる将来の病気や死亡リスク、受動喫煙への影響に関する予測はまだわからないことも多く、科学的証拠が得られるまでにはかなりの時間を要するでしょう。

喫煙は百害あって一利なし、ということを念頭に置きながら、今後の研究や調査にも注目していきましょう。

※1 主流煙(しゅりゅうえん):喫煙者が直接吸い込む煙
※2 副流煙(ふくりゅうえん):点火部から立ち上る煙
※3 呼出煙(こしゅつえん):喫煙者が吐き出した煙

監修者 京都大学名誉教授 内山 巌雄 先生

【経歴】
(元)
・東京大学医学部医学科を卒業後、東京大学医学部第2内科非常勤医師として勤務
・米国ハーバード大学公衆衛生大学院客員研究員、国立公衆衛生院労働衛生学部(部長)
・京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻教授
・環境省、厚生労働省の専門部会委員等

(現)
・医療法人社団医創会 百万遍クリニック シックハウス外来医師
・環境省、厚生労働省専門部会 委員
・子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査) 企画評価委員会 座長
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