がん治療とお口のトラブルには密接な関係があります。口腔ケアと全身の健康に関する研究を続けてきたサンスターは、がん治療における口腔ケアの重要性に着目し、医療関係者や患者さんの意見をくみあげた、口腔ケアの研究開発や情報発信に取り組んでいます。 がんとたたかう方のお役に少しでも立てるよう、お口の悩みを軽減するための口腔ケア関連の情報を提供しております。
がん治療を始める前に、主治医から歯科を受診するように言われることがあります。それはなぜでしょうか?
お口の中には様々な細菌が多数生息しています。治療前に適切なお口のケアを行い、細菌のバランスを整えることによって、お口の細菌が原因となる手術後の肺炎や傷口からの感染を予防します。また、お口のケアは抗がん剤・頭頸部放射線治療で起こる口内炎(口腔粘膜炎)・口腔乾燥等の症状を軽くします。これにより、治療中の苦痛を減らし、治療を最後まで行うことができます。
受診する歯科は、かかりつけの歯科医院が基本になります。かかりつけの歯科医院が無い場合は病院が連携する歯科医院や、がんと歯科治療の講習会等に参加した歯科医院(*)を受診すると安心でしょう。
* 約15,000名(平成30年7月現在)のがん診療連携登録歯科医が登録されています。国立がん研究センター がん情報サービス「がん診療連携登録歯科医名簿検索 」から最寄りの歯科医院が検索できます。
歯科医院では大きく分けて3つの処置を受けることになります。
① 歯、歯ぐき、粘膜等、お口全体をチェックし、治療中のトラブルにつながりそうな歯を治療する
② 歯に付着した歯石を除去し歯面をキレイにする
③ ひとりひとりのお口に合ったブラッシングの方法について歯科医師・歯科衛生士から説明を受ける
歯科医院での指導を受けた後は、ご自身で行うセルフケアに取り組むことになります。ここでは、基本的な歯みがきの方法をご紹介します。
方法:歯と歯ぐきの境目、歯と歯の間、奥歯の噛み合わせの部分は汚れが溜まりやすいところです。ハブラシをあてたら、細かく振動させるように動かしましょう。お口に腫瘍がある場合は腫瘍に触らないようにしましょう。
回数:毎食後が基本です。体調が優れないときは1日1回でもよいのでしっかりみがきましょう(時間帯は、夜間に菌が繁殖しやすいため、できれば夜寝る前をおすすめします)。
<おすすめのケア用品>
・ハブラシ
コンパクトなヘッドのものが奥歯まで届きやすく、隅々までみがくことができます。
・歯間ブラシ
歯と歯の間の汚れは、歯ブラシだけでは6割程度しかとれていません。歯間ブラシを併用することをおすすめします。(ブラシのサイズがあるので、どのサイズが適しているか歯科医師、歯科衛生士に教えてもらいましょう)
・フロス(糸ようじ)
歯間ブラシが入らない狭いところは、フロス(糸ようじ)で清掃しましょう。
※抗がん剤治療の副作用で血液中の白血球や血小板の数が少なくなると、歯ぐきから出血しやすくなります。その時期の歯間ブラシ、フロス(糸ようじ)の使用は控えましょう。
・舌ブラシ
舌専用の清掃用具です。強くこすると傷ついてしまいますので、やさしくケアしましょう。
・洗口液
現在使用している方は、治療中お口の粘膜に刺激を与えないために、ノンアルコールタイプに変更しましょう。
セルフケアをはじめる第一歩として、まずは主治医と相談し歯科医院を受診しましょう。
治療が始まったら、治療方法によっては口内炎(口腔粘膜炎)や口腔乾燥が起こります。主治医、歯科と相談し、お口の保湿剤や、粘膜に刺激が少ないケア用品を選択しましょう。
プロフェッショナルの視点から開発され、弱ったお口の中にやさしい低刺激タイプや、乾いたお口を保湿するタイプなど、お口のケアに適した商品ラインアップを取り揃えました。