コラム
2012/10/17

専門家インタビュー Vol.1【糖尿病の最新研究を語る】 サンスター 松本 元伸

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Vol.1【糖尿病の最新研究を語る】
糖尿病研究者 サンスター 松本 元伸

アメリカで最新の糖尿病研究に従事した経験をもつサンスター社員、松本が、最新の研究事情と、糖尿病患者さんに寄り添う存在としての思いを語ります。糖尿病を取りまく環境がこの先どのように変わっていくのか、感じていただきたいと思います。

糖尿病に関わるようになったのは「意外」。でも実はひとごとではなかった

糖尿病に関わるようになったのは「意外」。でも実はひとごとではなかった

まずは、現在の仕事の内容をお話します。生活習慣病や糖尿病に関連した食品の開発を行っています。もともとはスキンケアやヘアケア商品の開発を主にしており、アンチエイジングやアレルギーなどの研究に従事していました。

糖尿病の事業に関わるようになったのは、2005年10月のはじめ、サンスターがジョスリン糖尿病センターとの共同研究を進めることになり、そのメンバーとして参加するよう上司から打診を受けたことがきっかけでした。それまでの研究内容とはまったく異なっていたので、正直とても意外でした。糖尿病患者さんのためのスキンケアという方面から糖尿病に関与していましたが、積極的に関わっていたわけではなかったのです。

しかし、改めて自分の周りを見渡してみると自分の身内が糖尿病だったりして、ひとごとではないと思うようになりました。それに、今後糖尿病事業に取り組んで行くという会社の大義を、社員として一緒に求めていけるのは意義のあることだと思ったので、ジョスリン糖尿病センターへ行くことを決断しました。

最先端の糖尿病研究事情

ジョスリン糖尿病センターは世界でも一二を争う、糖尿病に関連する治療、研究、そして教育を推進している施設です。ジョスリン糖尿病センターに派遣されてから研究していたことのひとつは、サンスターとしての共同研究ですが、新しい視点での食品、薬の成分を見つけることでした。インスリンの抵抗性を下げたり、合併症の予防ができる役割をする素材の発見につながっています。

もうひとつは、食事を通じた体の反応に関する研究です。サンスターの福利厚生施設『健康道場』で提供している食事と、アメリカの現地の食事を食べていただいて、口腔の状況と、血液指標がどのように変化するか調べました。一般に、アジア人は白人に比べて糖尿病リスクが高いとされていますが、実際にどのような食事が影響しているか分かっていなかったのです。結果として、やはりアジア人にはアジア食(健康道場食)がよかった。逆に、欧米人の血糖コントロールにはあまり違いがなかったのです。アジア人は農耕民族、欧米人は狩猟民族という歴史をもっていますから、体の中の臓器が果たす役割も違ってきていたようなのです。

最先端の糖尿病研究事情

糖尿病はたいへんメジャーな病気でよく知られており、本などもたくさん出ているけれど、まだわからないことや新たな発見があるものなのです。糖尿病になぜなるのか、ということもまだまだ正確にはわかっていませんしね。長年の食物繊維を多く含む食生活に慣れ親しんだ我々の身体が現在の食生活に対応できているのか、またホルモン分泌との関係などもまだ研究の途中です。いまは不明だといわれることを研究していくことによって、かつては夢だといわれた個人個人に合わせた治療や薬の提案、食生活の提案というケアができるようになるかもしれません。

日本に戻ってきてからは、ジョスリン糖尿病センターで得られた知識をもとに、食品や医薬品のもとになる素材の開発を行っています。そのほか、ジョスリン糖尿病センターの講師を日本に迎えて食事と糖尿病や肥満との関係や歯周病と糖尿病との関連についての講演会も行っています。研究者として得た知識は確かに糖尿病患者さんの役に立つものではありますが、実際に糖尿病患者さんと接する機会があると、患者さんが切に求めていることとは違うと感じる事も多々あります。『糖尿病学』を知る事と、実際に患者さんが求めていることを知る事はまた違うんだなと思います。

患者さんの日常生活を変えずに不便解消を目指す

患者さんの日常生活を変えずに不便解消を目指す

糖尿病の患者さんは食生活の指導や生活習慣を変えることを指導され、プレッシャーや不便を感じている部分もあると思うので、そのあたりの手助けができるはずだと思っています。糖尿病の患者さんはお医者さんにいろいろ言われることがあって、そのとおりに生活習慣を変えるように頑張っていらっしゃいますが、それ以外にもたくさん困っていることがあります。かつてアトピー性皮膚炎の研究をしていたとき、たくさんの患者さんと話をする機会がありました。その中で単純に愚痴を聞いたり、話をしたりするだけで感謝されるなど、直接的な治療以外にもケアできる部分がたくさんあることを実感しました。が、糖尿病の患者さんに対してはまだそこまでできていないのでは、と感じています。

今後、研究者、また商品の開発者として、糖尿病を根本的に改善することは夢の一つですが、患者さんが日頃不便に感じている点に対してもアプローチしていきたいです。たとえば現状、糖尿病のための医薬品や食品の中には「食前に飲む」という制約がある商品などがあります。食前に飲むとうのは出来そうで意外と難しいものらしいんです。ついつい忘れてしまうんですよね。本当は、「いつ飲んでもいい」というようなものの方が便利なはずですよね。そうした不便を解消するものを、商品として仕上げたいなと思っています。なるべく日常生活を変えずに、望むことが実現できるように努力したいです。それと、糖尿病患者さんにとって、合併症は目に見えない敵のようなものですので、日々のケアの中で合併症への進行を抑えることができる商品も重要だと思っています。また、商品だけでなく、実績のある健康道場での食事に関するサンスター独自の情報も提供していきたいです。サンスターが提供する情報が知識として役立つだけでなく、情報を得ることで励まされたなど、メンタル面でのサポートもできれば嬉しいですね。

※このコラムは、「糖尿病とうまくつきあう」サイトに掲載されたものです。
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