コラム
2020/06/26

がん治療中の味覚障害がある時の対策

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がん治療とお口のトラブルには密接な関係があります。口腔ケアと全身の健康に関する研究を続けてきたサンスターは、がん治療における口腔ケアの重要性に着目し、医療関係者や患者さんの意見をくみあげた、口腔ケアの研究開発や情報発信に取り組んでいます。 がんとたたかう方のお役に少しでも立てるよう、お口の悩みを軽減するための口腔ケア関連の情報を提供しております。

監修/佐伯香織(さえき かおり)
がん看護専門看護師。2003年東京都立駒込病院 血液内科 造血幹細胞移植病棟勤務。(~2009年)
2014年がん看護専門看護師資格取得。2015年国家公務員共済組合連合会 横浜栄共済病院勤務。

がんの治療中に、特に気を付けたいのがお口の変化。
「味覚が鈍くなってきた気がする…」など、味覚に変化が起きてしまうこともあるのです。

そもそも、なぜ「味覚」が上手くはたらかなくなってしまうのでしょうか。
味覚とは、食事と密接に関係していて、好きな食べ物の味を思い出すだけで唾液が分泌され、カラダが食事をする準備に入ります。
しかし、がん治療の副作用によって味覚が変化してしまうことがあります。自分の記憶と目の前にある食べ物の味が異なることを「味覚異常」、味そのものが感じにくくなることを「味覚鈍麻」といい、これらが がん治療による「味覚障害」になります。実は、その味覚障害によって食べる楽しみが低下し、食欲が落ちてしまう場合があります。
毎日少しでも食事が楽しめるように、今回は「味覚障害がある時の対策」についてお伝えしていきます。

味覚に関する基礎知識

味覚には、甘味、塩味、苦味、酸味、うま味といった味覚があり、この味覚をキャッチするセンサーを「味蕾」(みらい)といいます。

味蕾は、舌の上表面や縁にある、つぶつぶとした多数の突起の中にあります。さらに、お口の奥の部分(軟口蓋)や、咽頭などにも存在しています。
そして、これら多くの味蕾は、たくさんの神経に取り囲まれており、味のセンサーになっています。

ではなぜ、がんの治療中に味覚障害が起きやすくなってしまうのでしょうか。
食べ物や飲み物がお口に入ると、唾液によって味の成分が溶かされてお口の中に広がり、さらに唾液によってひとつの味蕾から次の味蕾へと味が伝わっていきます。また、唾液中の成分は味蕾を保護するだけではなく、再生も促しているのです。

しかし、がんの治療中は唾液成分に変化があり、唾液本来の機能が期待できないことがあります。特に、抗がん剤治療をしている間は、お口の中が乾燥して、舌の表面が汚れで覆われやすく味を感じにくくなってしまうのです。

味覚障害が起こる原因

がんの治療によって、味をキャッチする味蕾の数の減少や萎縮が起こることがあり、それが味覚障害の原因のひとつといわれています。そのほかにも、唾液の量が減ることや、唾液そのものの変化によって、食べ物の味がいつもと違うと感じてしまうことがあります。また、抗がん剤治療をした場合、体内に入った亜鉛の吸収が妨げられることがあります。亜鉛は、味蕾の生まれ変わりに大切なミネラルですが、亜鉛が欠乏することで味覚障害になってしまうのです。

味覚障害の対策

【うがい、歯みがき】
お口の中が汚れていると、いつもとは違った味に感じる場合があるため、歯みがきやうがい、舌の清掃などでお口の汚れを取り除きます。
お口のセルフケア方法についてはこちら

また、唾液の量が減っている時にうがいをすることは、口の中の水分を補うことで粘膜や味蕾を乾燥から守る狙いもあります。
うがいの頻度としては、1日に5回以上(起床時、毎食後、就寝前)、それ以外でも気が付いた時に頻繁に行うようにしましょう。
医師や歯科医師に処方されるうがい薬、生理食塩水、市販の低刺激の洗口液などがおすすめですが、水道水でも構いませんので自分が続けやすいもので継続しましょう。

【食事の工夫】
味覚障害になると、特定の味が鈍くなったり過剰になったり、スプーンなどの金属や薬品の味に敏感になることがあります。
症状は個人差が大きいため、対処方法も個別性が必要です。味付けや食材選択の工夫で食事の楽しみを補えることもあるので、担当医や看護師、院内の栄養士など医療者にぜひ相談して、一人ひとりにあった対策を見つけ出して下さい。

<参考文献>
公益社団法人日本口腔外科学会:https://www.jsoms.or.jp/public/soudan/kouku/mikakusyougai/ (最終アクセス5月12日)
渡部茂:口腔乾燥症理解のための唾液の知識,歯薬農法Vol35 No4,2016
Alexander A. Bachmanov et al. “Genetics of Taste Receptors”. Curr Pharm Des. 20(16),2669-2683. 2014
Josep M Argiles et al.“Optimal management of cancer anorexia-cachexia Syndrome”, 一般社団法人日本臨床栄養学会:亜鉛欠乏症の診療指針,2016
静岡県立静岡がんセンター:https://www.scchr.jp/cancerqa/jyogen_4101982.html(最終アクセス7月14日)

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