コラム
2021/07/13

第14回:「ペットボトル症候群」に要注意!夏の水分補給の注意点とは

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暑い夏、熱中症の心配や、心身のリフレッシュをしたいという気持ちから、スポーツドリンク、炭酸飲料、ジュースなどをゴクゴク飲んでいませんか?でもちょっと待って! そんな生活を続けていると、急性の糖尿病を誘発する「ペットボトル症候群」になる可能性があるのです。そもそも「ペットボトル症候群」とは何?対策はできるの?専門医に教えていただきました。

監修者プロフィール

 
曽根正勝(そね まさかつ)
京都大学医学部卒。現・聖マリアンナ医科大学 代謝・内分泌内科部長、大学病院糖尿病センター長。内分泌・糖尿病担当。日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医、日本糖尿病学会専門医・研修指導医、日本内分泌学会専門医・内分泌代謝科指導医、日本高血圧学会高血圧専門医・指導医などの学会に所属。

「ペットボトル症候群」の症状と危険度とは?

左
先生、私達、スポーツドリンクや冷たい清涼飲料水でしっかり水分補給をしているのですが、どうも夏バテ気味のようなんです。
右
なるほど。それは「ペットボトル症候群」かもしれませんね。
左
えっ、それは何ですか!?
右
ご説明しますね。まず、スポーツドリンクや清涼飲料水、炭酸飲料などは、かなり多くの糖分が含まれているんです。そして水に溶けている糖分はカラダが吸収しやすいため、一度に飲むと血糖値がどんどん上がっていきます。
左
飲み物だけで血糖値が上がるとは知りませんでした。
右
問題はその後です。本来、血糖値が上がるとインシュリンが出て下げようとしてくれるのですが、あまりに長く血糖値が高い状態が続くと、インシュリンの効きが悪くなったり、出なくなったりします。これを、糖が毒のようにはたらく「糖毒性」といいます。
左
怖そうな名前ですね…。
右
さらにこの状態が長く続くと、浸透圧利尿といって、尿の浸透圧が上昇し、本来されるべき尿細管での水の再吸収が減少して、利尿作用が起こります。つまり、水分を補給しているつもりなのに、逆にどんどん水分が失われていって、カラダに糖分だけが溜まっていくんです。
左
水分を補給するために飲んでいるのに、逆に失っていくのですか?
右
そうなんです。そしてインシュリンが出なくなると、糖をエネルギーとして使えなくなって、その分を脂肪から燃やそうとケトンという物質が増え、体内が酸性に傾いちゃうんです。少量のケトンはカラダに良いとされているのですが、過剰になると良くない。この状態を「糖尿病ケトアシドーシス」というのですが、ペットボトルに入った糖分の多い飲料を多くの人が愛飲される時代になって、私たちの大学の以前の研究グループが「ペットボトル症候群」と名付けました。
左
そうなんですね。具体的にはどのような症状になるのですか?
右
一般的には食欲がなくなる、倦怠感、吐き気といった症状が見られます。もともと糖尿病じゃない人が急性の糖尿病になってしまうと、急に意識を失ってしまうことがあります。救急車で運ばれる方も多いんですよ。入院して改善される方もいらっしゃいますが、中には亡くなってしまう方もいます。
左
え!そんな大変なことに!
右
もちろん1日でたくさん飲んだからといって、そこまで深刻な状態になるわけではありません。ただ、糖分の多い水分補給をしているという自覚があって、最近だるい、のどが良く渇くという症状が続いている場合は、早めに病院を受診されることをおすすめします。

急に運動をはじめた「ぽっちゃり30代男性」は要注意!?

左
先生、もともと糖尿病ではない人でも症状が出てくるということですけど、どのようなタイプの人に多いのですか?
右
若い、小太りの方ですね。ややぽっちゃりした体型の方ががんばって運動し、スポーツドリンクや清涼飲料水をたくさん飲む、というケースです。肥満の方はインスリンがはたらきにくくなり、血糖をうまく細胞に取り込めなくなるんです。
左
夫はそれほどぽっちゃりしていないのですが、普段あまり運動をしないので、ちょっと心配です。個人差などはありますか?
右
まず男女性の差はないと思うのですが、内臓脂肪が多いと悪い影響が出やすいので、内臓脂肪が多めの男性がなりやすいかもしれません。
左
なるほど。年代での差はありますか?
右
お子さんや高齢者は清涼飲料水をそんなに多くの量は飲まないでしょうから、やはりたくさん飲む若い人に多い傾向があります。若い方は、お茶よりも糖分の多いものを好みがちということもあるでしょう。
左
夫はもともとお茶や水を飲むのですが、夏になってからは脱水対策のことを考えて、よかれと思って清涼飲料水をすすめていました…。
右
甘味って慣れてくるんです。甘味に対する感覚も鈍くなるし、欲求も強くなってくる。ちなみに飲料に使われる「ショ糖」の甘味を感じられるのは常温です。しかし冷たくして飲むことが多いので、その分甘味を強くするために糖を多く入れているんですよ。
左
なるほど。知らず知らずのうちにより多くの糖を求めてしまうんですね。

糖分の少ない飲料でも「水中毒」に注意

左
ではどのような飲み物がいいのでしょうか?この夏の適切な水分補給の方法もあわせて知りたいです。
右
たくさん汗をかく時には経口補水液のように適度な塩分のあるもの、家で作るのであれば水にレモン、塩を加えたものがいいでしょう。運動をして汗をかいて失われるのは、水分と塩分ですからその補給として適しています。

経口補水液の作り方

【材料】
水:500mL
塩:1.5g(小さじ1/4)
レモン果汁(市販のレモン果汁液でも可):15~20mL
※塩、レモン果汁とも若干の増減は可

【作り方】
材料をよく混ぜあわせる。

左
一工夫で家でも用意できるんですね。
右
はい。ただ、ストイックになりすぎず、スポーツドリンクや清涼感を得られるものを500cc1日1本、気分転換に飲むぐらいなら問題ありません。市販のスポーツドリンクなども、最近は糖分の少ないものも出てきていますから、よく調べて選ぶのもいいですね。
左
なるほど!神経質になりすぎなくても良いんですね。
右
はい。また、「水をたくさん飲もう!」と極端になりすぎないことです。「水中毒」という症状もあるんですよ。
左
それも初耳です。
右
必要以上に水を飲むと血液中のナトリウム濃度が低下し、電解質のバランスが悪くなってしまって、めまいや頭痛などが起きます。時には命の危険につながることもあるんですよ。
左
なるほど。糖分が少ないからといって大量に水を飲み過ぎるのも良くないんですね。
右
はい。適量飲むことが大切です。
左
そうですね!
右
普段の水分補給はなるべく水で。汗をかいた時は塩分、ミネラルもあわせて補給。ペットボトル飲料は1日にたくさん飲まないように、水分補給というよりも精神的なリフレッシュのために楽しむ。いずれも量は適量を心がけてください。
左
アドバイスありがとうございました!甘くて清涼感のある飲み物はうまくリフレッシュに使いながら、適度な水分補給を心がけます。

取材・記事 岩瀬大二
イラスト なとみ みわ

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