コラム
2021/06/01

《教えて!アスリートの健康習慣》第6回 ガールズケイリン編 高木真備選手

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さまざまなスポーツの世界で活躍するアスリートに、健康習慣と競技の魅力を聞く連載「教えて!アスリートの健康習慣」。

今回はガールズケイリン。登場いただく高木真備(まきび)さんは、トップ選手の一角。人気と実力を兼ね備えた、このジャンルをけん引する選手です。ガールズケイリンの選手は、尋常ではない脚力を作る努力、一瞬の判断ミスが大けがにつながるリスクとの闘い、張り詰める精神力と、日々厳しい戦いを続けています。だからこそ日頃のオフタイムや健やかな習慣は大切。高木選手の健康や癒しを支えるものを探ってみましょう。

■ガールズケイリンとは?
女子選手だけで戦う競輪。1949年から15年間開催されていた「女子競輪」が、2012年7月に「ガールズケイリン」として新たに生まれ変わりました。基本的には通常の競輪とルールが異なり、国際規格のルールで、競輪が1レース9車でラインと呼ばれるチーム戦の様相もあるのと違い、ガールズケイリンは7車で、ラインは組まず単独での戦いとなります。

プロフィール

 
高木真備(たかぎ まきび)
中学、高校時代はハンドボールで活躍し、2009年のジュニアオリンピックカップでは3位に。2012年競輪学校合格、2014年デビュー。2016年、特別レースであるガールズケイリンコレクションで初優勝。デビューから6年で、ガールズケイリンでは通算5人目の通算300勝という偉業を達成。
公式ツイッター:https://twitter.com/g_mkb

速いだけでは勝てないガールズケイリン


ホームバンクである東京・京王閣競輪場にて。競技用の自転車がかわいらしい!

はじめにガールズケイリンの見どころを教えてください。
右
1レース7人で走るのですが、単純なタイムの速さで結果が決まるわけではなく、展開や戦略次第で誰にでも勝てるチャンスがある、というのが見どころです。
速く走るだけではなく、選手は展開を読んで、戦略を立て、実行するということですか?
右
はい。スタートしてからの位置取り、対戦相手と自分の得意な戦法、今日の風向きや強さなど、レースごとに状況が変わるので、いろいろなことを考えて走ります。
複雑な要素が絡みあっているんですね。ちなみに高木選手の得意な戦法は?
右
オールラウンダーを目指していますが、今得意なのは、「先行」と「まくり」です。
※ 「先行」はレース残り1周の時点でトップに立っていてそのまま押し切る戦法。「まくり」は、レース終盤で先行する選手を追い越して(まくって)いく戦法。いずれも前にいて主導権を握るやり方です。


トップを走る高木選手のゴールの瞬間。それまでにさまざまな駆け引きがあり、最後は渾身の激走!

自転車競技といえば尋常ではない脚力によるスピード争いがクローズアップされますが、それに戦術が加わって、見る方としては面白さが広がります。ただ、それゆえのし列な位置取り、落車などケガもあります。怖くはないですか?
右
普段は怖がりなのですが、不思議とレース前は怖くないんです。負けず嫌いだからですかね。(笑)普段、ネガティブな考え方をしてしまうことも多いので、できるだけポジティブな言葉に置き換えるようにしています。ダメだなと思っても、いやダメじゃない、という理由を探したり。自信を無くしてしまうのは良くないと思っています。


厳しいトレーニングに加え、戦略と恐怖に負けないメンタルがあってこそ勝ち取れる勝利。

気持ちを切り替える大切なものは枕と愛犬

気持ち的にも肉体的にも消耗が激しい競技生活で、普段大切にされている健康習慣は?
右
まず睡眠です。これは本当に大切。私にとってベストの睡眠時間は10時間。これだと朝からしっかり練習に臨めて夕方、夜まで集中が続きます。7、8時間だと夕方あたりでちょっとつらくなりますね。
それだけの睡眠時間が必要なぐらい消耗が激しいんですね…。
右
22時ぐらいに寝るのが理想ですが、練習に集中して遅い時間になったり、ナイターレースもあるので実際はなかなか難しいです。それもあって睡眠の質を上げるために枕にはこだわっています。専門店で自分にあう形、素材を選んで作りました。
アスリートの方で枕などの寝具にこだわる方は多いと聞きます。
右
ガールズケイリンは遠征も多く、いろいろな宿舎に宿泊しますが、この枕を持っていくとよく寝られるんですよ。

枕が変わると寝られないという言葉はよく聞きますが、できるだけ普段と近い環境に整えるというのも大切なんですね。遠征が多いということは食事のコントロールも大変そうです。
右
だいたい3泊4日、宿舎から出られず、その食堂で食事をします。自分で食事を選べるわけではないので、遠征時以外はできるだけ好きなものを食べるようにしています。カラダを維持するために栄養面などは考えなければいけないのですが、それは前提としても、好きなものを我慢しすぎるのは精神的に良くないと思っています。ちなみに、各地の宿舎のごはん、とっても美味しいんですよ。とても助かっています。
厳しい練習やレースのために、気持ちを緩めたり、しっかり休むことが大切。ほかにオンオフを切り替えるような癒しもあるのですか?
右
家に犬がいて、帰ったら戯れまくっています。無駄に写真を撮ったり。私が辛そうにしていると、わかってるよ~みたいな表情もしてくれる…気もします。(笑)レースや遠征の疲れを忘れられる瞬間です。

パワーを生み出すためのお口の習慣

お口の習慣についてもお聞きします。勝負所やパワーをかける時に歯にかかる負担も大きい競技ではないでしょうか。
右
そうなんです。パワーを出そうと歯を食いしばるため、選手によっては歯がかなりすり減ってしまうと思います。私も以前、歯に負担がかかりすぎて、普段でも歯や歯ぐきに痛みを感じるくらいになったことがあるんです。レースに集中ができず、ここが勝負どころというところで力が出せないのも嫌なので、歯の健康を以前より考えるようになりました。それまではあまりお口のケアについては考えていなかったのですが、意識が高まりました。
勝つためにも歯のケアは必要ということですね。
右
はい。以前よりも今はその大切さを実感しています。自分でできるセルフケアとしては、朝晩きちんとみがくことはもちろんですが、最近では自分の歯にあったデンタルフロスを朝晩使っています。


先輩からすすめられたデンタルフロスがすっかり習慣に。歯はパワーを生むための大切な武器。

デンタルフロスの使い心地はいかがですか?
右
とてもいいですね。最近、歯間にあわせて使うことも大切なんだな、と気づきました。それまでは大きめで入りにくかったのですが、歯並びを良くしたいということを目的に歯の矯正をしたら、これをきっかけに入りやすくなりました。自分にあっていないサイズを使っていたようです。

こちらの記事もどうぞ>>
歯間ブラシの選び方。ポイントは「サイズ」「材質」「奥歯への届きやすさ」

より良いお口のケアで、レースに全力で挑んでいただきたいです。最後に、これをきっかけに「高木選手のレースを見よう!」という方に、“高木真備の見どころ”を教えてください。
右
どんな展開になっても絶対あきらめずに勝利を目指すというところを見ていただきたいです。とにかく負けず嫌いなんです。(笑)勝負強さでは負けないと思っています。


この笑顔にして負けず嫌い。最後まであきらめない姿勢を見て私たちも元気をもらえそう。

取材後記筆者は数回、ガールズケイリンのレースを見た経験がありますが、スピード感あふれる戦いには実にすがすがしいものがありました。選手たちは、その中でも頭をフル回転させて戦略を考えていたのですね。とはいえ、高木選手は決してストイックな健康法を行っているわけではなく、好きなものを食べる時は食べるなど、柔軟なところが印象的でした。勝つためのカラダ作りには「心の健康」も必要なのですね。

取材・記事 岩瀬大二
撮影 石原敦志
レース・大会画像提供 JKA
取材協力 京王閣競輪場

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