コラム
2021/01/12

受験前だからこそ食事を大切に。合格のための食習慣とは

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そろそろ受験本番。お子さんが受験に挑んでいるという方も多いでしょう。焦りと緊張で食べる量が減ったり種類が偏ったりとおろそかになりがちな受験生の食事ですが、体力やエネルギー保存のためにも大切にしたいもの。そこで、受験生に取り入れてほしい食習慣や、気をつけたいポイントを専門家にお聞きしました。

取材先プロフィール

 
柏原ゆきよ(かしわばら ゆきよ)
管理栄養士
一般社団法人 日本健康食育協会 代表理事。企業、スポーツチームの食生活アドバイスや健康レシピ開発など、幅広い分野で5万人を超える食のサポートを行う。『お腹からやせる食べ方』(三笠書房)他著書多数
公式サイト:https://shokuiku-imagine.com/

集中力を高める食習慣は「よく噛むこと」

「受験生にとって大切なのは、まず勉強の効率をよくすること。そのためには集中力を高める食習慣が必要です」

と指摘する柏原さん。確かに、長時間勉強していても頭がはたらかず、効率が悪くなってしまっていることがあります。必要な集中力を食習慣で育むためのキーワードは、柏原さんによれば「咀嚼」。 

咀嚼、つまり噛むことは本当に大事なんです。まず脳への刺激になります。首から上の血流が良くなり、循環が高まります。そして交感神経が休まると、反対に消化吸収は高まりますので、これも集中力を高める助けになります。そのために良いのが、よく噛める食事。逆に、悪いのは早食いです」

咀嚼すること、ゆっくり食べることで「交感神経」と「副交感神経」のスイッチが入ります。カラダには、アクティブな行動とともに高まる交感神経のはたらきが優位になると、消化吸収がうまくいかないというメカニズムがあります。一方、リラックスした状態になって副交感神経のはたらきが優位になると、消化器官への血流がスムーズになるのです。

食事の時は副交感神経優位、つまりリラックスが大切。難しい考え事をしながら食べたり、さっさと食べて勉強しなきゃと早食いするのではなく、食事は食事と切り替えて、おいしく食べる。これが大切なんです。美味しい食事を作ることも大切ですが、それ以上にリラックスして食べる事ができる環境を整えてあげる事がとても重要です。10分でも15分でも机から離れてゆっくりさせてあげたいですね」

さて、ゆっくりしっかり咀嚼できる食事は?と悩んでしまいますが「ごはんと味噌汁をゆっくり食べる。それだけで十分です」と柏原さん。

「ごはんをしっかり咀嚼して食べていると、消化に良いことはもちろん、エネルギー代謝も上がります。カラダの中で脳はとてもエネルギーを使う臓器ですから、十分にはたらいてもらうためにもちゃんと食べていただきたいですね」

ごはんと味噌汁、そしておかずを「三角食べ」することで、よりゆっくり食べることができます。ごはんは咀嚼するごとに唾液と混ざりあい、旨味、甘みが増しよりおいしく感じられ、さらに消化も良くなります。

「夜食にも、消化の面からおにぎりはとても良いものです。カラダが冷えていると集中力が低下するので、お味噌汁はつけてあげたいですね。うどんやラーメンはほぼ噛まないで食べられるので、咀嚼という点からはあまりおすすめできません」

【関連情報】
しっかりした噛みごたえと食物繊維で受験生を応援!「健康道場 玄米ごはん」について>>

この時期だからこそおすすめしたい食材とメニュー

さて、ごはんと味噌汁の食習慣は普段からできることですが、受験の追い込みに入ってくる時期におすすめの食材を教えていただきましょう。

「普段の勉強も大切ですが、本番のこの時期、風邪をひいたり、体調を崩してはいけませんね。カラダを温め、保温効果の高いショウガ、野菜では根菜、特に消化や咀嚼の面も考えると大根はおすすめです。咀嚼の面では劣りますが、とろろや山芋もいいですね」

大根や山芋を使った味噌汁にショウガを添えたおかずは、この時期に最適なメニューといえそうです。


ショウガを使ったレシピは多彩。野菜や和食が続くと飽きてしまうという育ち盛りの受験生なら豚肉の生姜焼きや、さりげなくカレーに入れるなどいろいろな使い方で工夫しましょう。

また、心を落ち着かせる食材もあるようです。

「心を落ち着かせる作用を持つのがセロトニン。別名幸せホルモンですね。このもとになるのが必須アミノ酸であるトリプトファンで、食べ物から腸内で作られます。このトリプトファンは、実は味噌や豆腐などの大豆製品やお米にも十分含まれているんです」

脳内ではたらく神経伝達物質のひとつであるセロトニン。これが不足すると感情のコントロールや心のバランスを取るのが難しくなるとされていますが、ここでもごはんと味噌汁が活躍してくれそうです。

時には楽しい食事の時間も必要


好きなものを思い切り食べるなど、親子で緊張から解き放たれる時間も大切に。

食事に気を遣いすぎることがかえって逆効果になることもある、と柏原さん。

重要なのは受験生本人のテンションです。本当は本人が食べたいものがあるのに、こっちがいいからと我慢させるのはよくありません。多少カラダに悪いと感じるようなものでも、普段、ごはんと味噌汁をしっかり食べているという土台があれば、そんなにバランスは崩れませんから食べさせてあげるのも大事です」

あまりストイックになりすぎず、中・高校生らしい楽しさやボリューム感も大切に。唐揚げやカレーなどテンションが上がる楽しい食事があれば、気分転換にもなるでしょう。

柏原さんは、「食の時間」も大切だといいます。食事は気持ちを切り替える時間と考え、勉強部屋を出て気持ちを緩めてもらいましょう。

こだわりすぎるより、楽しく、丁寧に食べるのが何より大切。例えばご飯と味噌汁を基本に、時にはお取り寄せやちょっと贅沢な食材を取り入れてみる。そして食卓での会話でその楽しみを共有しながらリラックスする時間を作り、食を工夫して、受験シーズンを乗り切ってください」

取材・記事 岩瀬大二
撮影(柏原さん) 石原敦志

カロリー&糖のとりすぎが気になる方にも
 

実りある豊かな人生のために、食事・身体・心のバランスを取り戻す健康法をお届けします。

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