コラム
2020/12/02

《守るための、縁の下のちからもち》第6回 心身の健康を守る仕事を選んだ元プロレスラー

7
826 views

年末は、心身ともにたまった疲れをリセットしたいもの。そこで、人々の疲れを癒し元気にするお仕事に注目します。整体治療院の院長・山崎一夫さんは王座も獲得した往年の名プロレスラー。ケガがつきものの職業だったからこそわかる、今の仕事の楽しさ、やりがいや健康習慣のアドバイスについて伺いました。

プロフィール

 
山崎一夫(やまざき かずお)
整体師・鍼灸師。山崎バランス治療院院長。新日本プロレス、UWF、UWFインターナショナルなどで活躍した元プロレスラー。2000年引退後、山崎バランス治療院を開設。その傍ら、プロレス解説者、タレントとしても活動。

カラダにもっとも大切なのは前後左右のバランス

(施術を受けて)元プロレスラーの方の整体というと、もっと激しくバキバキ、というイメージでしたが、とても優しく、気持ちまでほぐれるようでした。
右
ありがとうございます。カラダをゆったりとほぐしながら、左右のバランスが整うように心がけています。人のカラダにもっとも大切なのは、前後左右のバランスなんですよ。でも現代人には、驚くほど歪んでいる人が多いんです。


「驚くぐらい左右のバランスが悪いですよ(笑)」と寝姿をみただけで指摘。その歪みにあわせて治療がはじまります。

カラダの歪みには、どのような原因が考えられますか?
右
例えば右利きの人であれば、右手は動かして、左手はそれを支えるという動きになりますが、支える方は固まりやすい。人間は動物なので、バランスよくカラダを動かすことが自然です。動かさず固まってしまっていることが多いですね。
私も普段、カラダを動かさず同じ姿勢でいることが多い気がします。
右
そうなんです。首や腰が痛いという場合、姿勢が固まっていることが原因であることが多いんです。何時間も同じ姿勢で座っていること、また、最近ではスマホを見続けることによっての首痛が話題になっていますが、これも長時間同じ姿勢で固まってしまうことが原因です。
冬に外に出ると、寒さで肩に力が入り、かなり痛く感じる時がありますが…
右
カラダの表面温度が下がって筋肉が固まってしまいます。そこから急に動かすとぎっくり腰にもなりやすいので、気をつけてください。腰痛は重いものを持ち上げたりすることだけが原因ではないんです。
なるほど。前後左右のバランスを整えて、普段から意識して動かすことが大切なんですね。
右
実はバランスにはもうひとつあるんです。それは心のバランス。ある女性のお客様は、吐き気がするほどの肩こりで悩んでいらっしゃいました。最初はなかなかほぐれなくてどうしたものかなと思っていたのですが、2回目に来られた時、治療中に普段の悩みを吐き出された。すると、すーっとほぐれはじめたんです。
ストレスを吐き出すことでカラダも整いはじめたんですね。
右
そうなんです。この仕事には解剖学をはじめさまざまなカラダの知識、技術などが必要なのですが、それだけではない。心とカラダはつながっているんだと感じています。
心身のバランスも大切なことなんですね。
右
真面目で我慢強い人には、あまり無理しないでといいたい。それはカラダにも心にも悪影響です。

人の役に立ちたくてプロレスラーから整体師へ

さて、プロレスラーとして一時代を作った山崎さんですが、治療院を開設して20年。そもそもきっかけはなんだったのでしょうか?
右
デビュー前から腰痛で苦しんでいて、新日本プロレス入団後も悩んでいました。そこで、当時寮長だった前田日明さんに整体の先生を紹介いただいたところ、なんとか治ったんです。試合で頭から落とされて首が詰まってしまい、翌日のビッグマッチはダメかなと思った時も、先生のおかげでなんとかリングに上がれました。
大変な経験があったんですね。
右
それで、将来はこういう人の役に立つ仕事をしたいと思うようになって、その先生を師匠として必要な勉強に取り組み、国家資格を取得しました。


現役時代、数々の激戦を繰り広げた山崎さん。このこぶしも現役時代は攻撃、今は癒しを生むものに。

山崎さんは現役時代、関節技の達人でした。そういう意味では、人体の仕組みについてはもともとご存じでしたよね。
右
確かに(笑)。実は関節技で相手を壊すのは簡単なんです。
そうなんですか!?
右
はい、でも、治すのはとても難しい。歪んだカラダをここ、という正しい位置に戻さなければいけませんから。
関節技の達人にして、20年治療に当たっている山崎さんならではの視点だと思います。
右
また、プロレスのトレーニングを積んできた経験が活きるのは、日常生活へのアドバイスができることでしょうか。例えば重いものを持ち上げる時に腰や背中に負担をかけない方法などを教えて差し上げられるのも、プロレス経験者ならではかな、と思います。

心とカラダの駆け込み寺を目指して

「こんなことを心がけると心身ともに健やかになる」という生活習慣のアドバイスをお願いします。
右
1に姿勢、2にストレッチ、3に軽い運動です。同じ姿勢を続けることでカラダが固まってしまいますから、動かす意識を持つこと。1日の終わり、お風呂でカラダをゆるめて、そのあとストレッチをして明日に向けてゆっくり寝る。それだけでもいいでしょう。
人間は動く動物である、という言葉を覚えておけば、日常生活でも意識できそうですね。
右
それから、スマホ首対策についてもお知らせしますね。私の対策はちょっと変わっているんですよ。
興味があります!
右
首は立ったり座ったりしているだけで負担がかかるので、固まりやすくなっていますが、実は寝ている時が一番負担がかからないんです。そこで、私は寝ながら仰向けで使っています。
ええっ、それだと腕が疲れませんか?
右
それでいいんです。腕が疲れたらスマホ時間は終了のタイミング。それぐらいがスマホと接するにはちょうどいいんだと思います。ただ、これには別な問題点があって…。
なんでしょうか?
右
ついうとうとしてスマホが顔に落っこちてしまう。何度か痛い思いをしました(笑)。
最後に、山崎さんがこの仕事をするうえで大切にしていることを教えてください。
右
カラダと心は密接につながっています。カラダの治療だけではなく、良い聞き役であることも大切だと思っています。「心とカラダの駆け込み寺」としてみなさんを癒し、治していければいいですね。


カメラ目線で笑顔で、という注文に「現役時代はカメラを向けられると睨め睨めといわれたものですが、この仕事では笑え笑えといわれます」と自然で素敵な笑顔。

取材後記鋭い打撃、必殺の関節技で相手を破壊するというのが現役時代の山崎さんのイメージでしたが、なんとも柔和で静かな語り口。大のつくプロレスファンのライターとしては、山崎さんに首を持たれるだけで緊張が走りましたが、いざ触れていただくとあっという間にリラックス。掌から心の温かさが伝わってくるようでした。それにしても「驚くほど左右のバランスが悪いですよ」といわれて、そんなに? と思っていたところ、カメラマンからも「僕でもわかるくらいですよ」といわれてヘコみました。左右のバランスを意識していこうと思います。

取材・記事 岩瀬大二
撮影 石原敦志

《守るための、縁の下のちからもち》第1回 ラグビー選手を支えるメディカルトレーナーという仕事
《守るための、縁の下のちからもち》第2回 「通いたくなる歯科医院」を医療機器で支える人たち
《守るための、縁の下のちからもち》第3回 心の健康に寄り添うメンタルヘルス・カウンセラー
《守るための、縁の下のちからもち》第4回 駅伝ランナーを支える青山学院寮母さん
《守るための、縁の下のちからもち》第5回 作り置きはおまかせ!家族の健康を支える家事代行

7件のコメントがあります。
並び替え
コメントするにはログインしてください
投稿の報告
「クラブサンスター」内において、利用規約に違反する疑いがある投稿を発見された場合は、こちらより該当する理由を選択の上報告ください。
該当する理由を選択してください。
キャンセル  
投稿の報告
通信に失敗しました。恐れ入りますがしばらくたってからやり直してください。
閉じる
ご協力ありがとうございました
※報告者情報、報告内容については個人情報保護方針にて保護され、公開されることはありません。
注意事項
ご連絡に事務局が個別にお答えすることはありません。
ご連絡いただいた内容は、利用規約に照らし合わせて確認を行います。
ご連絡をいただいても違反が認められない場合には、対応・処理を実施しない場合もあります。
閉じる