コラム
2019/11/30

お肌が弱酸性だとなぜいいの?pHって何?

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健康な肌が弱酸性の理由

「お肌は弱酸性」という知識が浸透しているように、健康な肌の表面は、pH4.5~6.0の弱酸性です。pHとは、酸とアルカリの度合いを表す数値で、ピーエッチやペーハーと呼ばれます。

私たちの肌の表面は、皮脂腺から分泌された皮脂と汗腺から分泌された汗が混じり合った『皮脂膜』という天然の保護膜によって守られています。

さらに、角層にはNMF(天然保湿因子)や角層細胞間脂質などの水分保持成分が含まれています。NMFはフィラグリンが分解してできたアミノ酸・乳酸・尿素・ピロリドンカルボン酸を含み、皮脂や角層細胞間脂質には遊離脂肪酸が含まれます。これらによって肌が弱酸性に保たれています。

肌に傷や湿疹ができたり、大量の汗をかいたりした時は、肌が中性~弱アルカリ性に傾きます。すると、悪玉菌である黄色ブドウ球菌などが増えやすくなり、炎症や湿疹を招くことがあります。

つまり、肌が本来のpHである弱酸性に保たれていることが、健やかな肌の基本。悪玉である黄色ブドウ球菌はよりアルカリ性を好む性質があることから、肌を弱酸性に保つことはこの悪玉菌から肌を守ることにつながります。

成長とともに変化する肌のpH

赤ちゃんの肌は、生まれてきたばかりの時は中性ですが、生後5~6週目には弱酸性に変化します。ですが、赤ちゃんの肌は薄いためバリア機能が未熟で皮脂が少なく、よく汗をかくなど、大人の肌と同じ状態ではないことから、ちょっとした環境の変化で揺らぎやすい状態です。

また、近年の研究では、肌を酸性に保つことで肌バリア能が向上する可能性も出てきています。そのため、肌のpHを中性~アルカリ性化することにつながりうる汗や刺激物はこまめに洗い流し、保湿をしっかりすることで、肌の状態を整え、弱酸性の状態を保つことが大切だと考えられています。


 
監修/西川伸一(にしかわ しんいち)
医師、医学博士
1948年滋賀県生まれ。1973年京都大学医学部卒業。1980年ドイツ・ケルン大学遺伝学研究所留学。帰国後、京都大学胸部疾患研究所にて助手、助教授を勤めた後、1987年より熊本大学医学部教授、1993年より京都大学大学院医学研究科、分子遺伝学教授を歴任。2013年よりNPO法人オール・アバウト・サイエンス・ジャパン代表理事に就任するとともに、2019年より一般財団法人サンスター財団会長に就任。
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