コラム
2019/11/30

腸内環境に大切なプロバイオティクスとプレバイオティクスって何?

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100兆個もの細菌が棲む腸

私たち人間の腸内には、体内の菌(微生物)の約9割が存在するといわれ、数100~1000種類、100兆個もの腸内細菌が棲んでいます。この腸内細菌の集まりのことを、腸内フローラ(菌叢:きんそう)と呼びます。

腸内細菌には、善玉菌と悪玉菌、日和見菌(健康な時はおとなしいが、カラダが弱っていると悪いはたらきをする菌)と呼ばれるさまざまな菌が存在し、これらは密接な関係を保ちながらバランスをとっています。近年の研究結果からは、特定の菌が多い状態よりも、さまざまな種類の菌がバランスをとって「多様性」を維持することが重要と考えられています。

ですが、どのようなバランスが健康に最適であるかはまだよくわかっていません。未開発地域(もしくは発展途上国)の住民のもつ腸内細菌叢は先進国の住民のものと比較して多様性のある細菌叢をもっている、などの報告もありますが、今後の研究でさらにいろいろなことがわかってくるでしょう。

腸内細菌の種類は人によってさまざま。3歳頃までにその人特有の腸内フローラが育成され、その後の菌の数は年齢によって増減しますが、健康な生活を送っている限りは、菌の種類とバランスはほとんど変わらないといわれています。しかし、食生活、生活習慣、服用した薬(特に抗生物質)によって変化することもわかっています。

プロバイオティクスとプレバイオティクスとは?

近年の研究で、食生活と腸内フローラの深い関わりや、健康への影響が明らかになってきました。便秘や下痢といった腸の不調だけでなく、生活習慣病やアレルギー疾患の原因として、腸内フローラの乱れも指摘されています。また、最近は夜泣きや自閉症などとの関係についての研究もはじまっています。

そんな中、腸内の善玉菌を増やし、腸内フローラのバランスを整えるプロバイオティクスとプレバイオティクスが注目を集めています。

生きた有用菌を摂る「プロバイオティクス」

プロバイオティクスとは、腸内フローラのバランスを整えるビフィズス菌や乳酸菌といった善玉菌やそれらを含む製品・食品のことです。

食品では、ヨーグルト・乳酸菌飲料・納豆・漬物などが挙げられます。ただし、摂取したビフィズス菌や乳酸菌は腸内に長くは棲みつかないとされています。毎日続けて摂取することをおすすめします。

善玉菌のエサとなる「プレバイオティクス」

プレバイオティクスとは、善玉菌のエサとなり腸内フローラのバランスを整える水溶性食物繊維やオリゴ糖などの食品成分です。プレバイオティクスには、整腸作用やミネラル吸収促進作用などもあります。

<水溶性食物繊維を多く含む食品>
ゴボウ・グリーンピース・タマネギ・オクラ・ニンジン・カボチャなど

<オリゴ糖を多く含む食品>
大豆・たまねぎ・ごぼう・ねぎ・にんにく・アスパラガス・バナナなど


 
監修/西川伸一(にしかわ しんいち)
医師、医学博士
1948年滋賀県生まれ。1973年京都大学医学部卒業。1980年ドイツ・ケルン大学遺伝学研究所留学。帰国後、京都大学胸部疾患研究所にて助手、助教授を勤めた後、1987年より熊本大学医学部教授、1993年より京都大学大学院医学研究科、分子遺伝学教授を歴任。2013年よりNPO法人オール・アバウト・サイエンス・ジャパン代表理事に就任するとともに、2019年より一般財団法人サンスター財団会長に就任。
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