コラム
2019/11/30

赤ちゃんの肌の保湿はいつから?

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大人よりも薄くてバリア機能が未熟

人間の皮膚には、アレルゲン・化学物質などの異物の侵入や、水分蒸発を防ぐ「バリア機能」が備わっています。ですが、生まれたばかりの赤ちゃんのお肌は大人よりも薄く、バリア機能が未熟です。

生まれてくる前の赤ちゃんの肌は、お母さんの子宮の羊水や胎脂に守られていました。ところが、生まれると同時に空気の乾燥にさらされるようになり、さまざまな刺激を受けはじめます。

アレルゲンなどが侵入しやすい赤ちゃんの肌

「赤ちゃんの肌が乾燥しているように見えない」というお母さんもいるでしょう。生後3ヶ月くらいまでの赤ちゃんの肌は、性ホルモンの一時的な影響で皮脂分泌が増えます。この時期は、乳児脂漏性皮膚炎にかかる赤ちゃんもいるほどです。

ところが、生後3ヶ月を過ぎる頃から皮脂量が急激に減少。角質層を作っているアミノ酸やセラミドなども少ないので、赤ちゃんの肌は乾燥しがちです。肌の細胞と細胞のすき間からは異物が侵入しやすく、もしアレルゲンが入ってしまうとアトピー性皮膚炎になるかもしれません。

出生直後からのスキンケアでアトピー性皮膚炎を予防

アレルゲンなどが侵入しにくい肌に整えるには、肌のバリア機能を高める必要があります。そのためには、スキンケアが有効です。
アトピー性皮膚炎の患者さんの約65%は、生後1年で症状が出ているともいわれています。肌の保湿をはじめるのに、早すぎるということはありません。また、何歳から保湿ケアをはじめても、バリア機能を高める効果はあります。

ただ、「スキンケアは大人がするもの」と思っている人は少なくありません。また、赤ちゃんの肌に保湿剤を塗ることに抵抗がある人もいるでしょう。ですが、最近の我が国の赤ちゃんを対象にした研究から、出生直後から肌の保湿を続けるとアトピー性皮膚炎の発症を予防できる可能性がわかってきました。これに基づいて、日本皮膚科学会のガイドラインでは赤ちゃんの保湿の意味についても触れています。

この分野はようやく研究が進みだしたところで、どのような保湿剤が赤ちゃんに最適かはまだまだ分からないことが多いのですが、いずれにせよ、新生児から使えるローションや乳液の多くは、デリケートな赤ちゃんの肌に配慮した刺激が少ない処方です。「パッチテスト済」「アレルギーテスト済」や「無香料」などの表示も参考にして、できれば小さな範囲に少し使ってみてカブレなどの問題がないことを確かめた上で使うとよいでしょう。まずは、沐浴や入浴のついでに塗ることからはじめてみましょう。


 
監修/西川伸一(にしかわ しんいち)
医師、医学博士
1948年滋賀県生まれ。1973年京都大学医学部卒業。1980年ドイツ・ケルン大学遺伝学研究所留学。帰国後、京都大学胸部疾患研究所にて助手、助教授を勤めた後、1987年より熊本大学医学部教授、1993年より京都大学大学院医学研究科、分子遺伝学教授を歴任。2013年よりNPO法人オール・アバウト・サイエンス・ジャパン代表理事に就任するとともに、2019年より一般財団法人サンスター財団会長に就任。
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