コラム
2021/07/01

酸性食品が知覚過敏の原因!?「歯科管理栄養士」が本当のところを教えます!

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歯の根元が痛い!と感じることはありませんか?その症状、知覚過敏かもしれません。知覚過敏は、歯周病や加齢などにより歯ぐきが下がることで象牙質が表に出て、その表面にある象牙細管(=知覚ホール)を通じて刺激が神経に伝わり、痛みとなって現れる症状のことです。

今回考えたいのは、知覚過敏の原因のひとつともされる「酸性食品」とのつきあい方。歯科医院に勤務する管理栄養士として活動する専門家とともに探っていきましょう。

監修者プロフィール

 
前絵理(まえ えり)
医療法人靖正会 萱島駅前歯科クリニックTC歯科管理栄養士。食品業界に約13年勤務し、あらゆる角度から食について勉強したのち、歯科業界へ。現在は「歯科に来院される患者様の健康観を高める」という信念のもと、口腔内から全身までトータルの健康と疾病予防をサポート。歯科医療従事者へ歯科食品栄養学のセミナーなども実施している。

歯へのリスクが大きい食品はpH値が低いもの

知覚過敏は歯の象牙質が露出することによって起きますが、その原因として歯ぐきが下がる「歯肉退縮」と「エナメル質の喪失」があります。このうち、エナメル質が喪失する原因のひとつが「酸蝕」。

「酸蝕」というくらいですから、気をつけなくてはならないのは酸性食品ですが、具体的にはどういうものなのでしょうか?よく「この食品は酸性、この食品はアルカリ性」といういい方を聞きますが…。

「実は歯へのリスクという意味では食品の酸性/アルカリ性の分類は関係がありません。例えばレモンは食品としての分類上はアルカリ性ですが、歯への負担は大きいんです。そこで、注目していただきたいのはpH(ピーエッチ)値。この数値が低い飲食物ほど酸蝕のリスクが大きくなります

pH値は、水溶液に含まれる水素イオンの濃度の値で、7.0が中性。それより小さくゼロに近づくほど強い酸性とされています。この数値で食品を見てみると、レモンのpH値は約2.0で、強い酸性を示しています。

歯のエナメル質はpH値が5.5以下の酸に弱いということが知られており、レモンなどの柑橘類、りんご、酢、ヨーグルトなどがこの分類にあてはまる食品です。

ちなみにお口の中のpHは7.0前後で、中性となっています。


歯のエナメル質はpH値が5.5以下の酸性食品に弱い。酸性食品の代表格は柑橘類。

甘くても酸性!?炭酸飲料やドレッシングにも要注意

歯のエナメル質を守るためにpH値が5.5以下の酸性食品に気をつけなければいけないことがわかりました。酸性の水溶液には「なめると酸っぱい」という特徴があり、pH値の低い食品も皆、酸っぱいイメージがあります。

そこで「酸っぱいものに気をつければいいのだな」と考えるかもしれませんが、実はそれだけではありません、と前さん。

「甘い炭酸飲料や、スポーツ飲料、ワイン、チューハイなど、酸に加えて糖分を多く含む飲みものにも要注意です」

これらのドリンクをpH値で見ると、ほとんどがpH5.5以下の酸性。糖分を加えているため酸の強さに気がつきにくいのです。

また、ソースやマヨネーズ、ドレッシングなども糖分が入っているので酸性と気づきにくい食品の例。カラダを動かした後にスポーツドリンクを飲む、サラダにたっぷりのドレッシングをかけて食べる、チューハイやワインをちびちび飲むなどの習慣は、「酸蝕」の危険を高めているといって良いでしょう。

しかし、歯に良くないからと食の楽しみを制限しすぎてストレスになってもいけません。リスクがより高まるのは酸に触れる時間が長かったり頻度が高い場合なので、酸性食品を摂る時は、酸に歯が長時間さらされないように、水やお茶を飲んで流す、あるいは水でうがいをするなどして、気をつけるようにしてください。


食事の楽しみをなくさないように、同時に水やお茶を飲む習慣を。

唾液は酸性に傾いたお口の中を中性に戻してくれる

実はお口の中には、酸による歯へのダメージを中和してくれる心強い味方がいます。それは「唾液」。

「唾液には、飲食物などで酸性に傾いたお口の中を中性に戻してくれる役割があるのです」

酸っぱいものを食べると唾液が多く出るのは、カラダが酸味をカラダに危険なものと判断し、洗い流そうとするため。しかし、唾液の量には個人差も大きく、加齢、ストレス、口呼吸、飲酒などでも唾液が出にくくなります。また、「マスク生活の中で、無意識にお口が開いてしまっていたり、口呼吸になっている事でお口の乾燥が進み、唾液が出にくくなっている方がいらっしゃいます」と前さん。

お口の中が乾燥して唾液が少ない場合には、「酸蝕」が進みやすくなるリスクがさらに高まります。唾液が出やすくなる唾液腺マッサージを試してみたり、それでも心配であれば歯科医に相談して、唾液の質と量を調べてもらうのもよいでしょう。

酸性食品と上手につきあって、知覚過敏になるリスクを減らしたいですね。

取材・記事 岩瀬大二

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